仕事と家庭の両立問題の根源は、育児と介護への低評価にある

仕事と家庭の両立問題の根源は、育児と介護への低評価にある

写真はイメージです

■要約者レビュー

 仕事と家庭の両立は、難しい。子育ては予測できないアクシデントの連続だし、突然親の介護が必要になったりする。この、現代の最重要課題の1つを理知的に考察して、全米で注目を集めた書籍の、待望の翻訳版が本書『仕事と家庭は両立できない?――「女性が輝く社会」のウソとホント』である。

 著者は、オバマ政権のクリントン国務長官のもとで、女性初の政策企画本部長になった人物だ。しかし、2年後、著者はそのポストを降り、地元の大学の教授職に戻ることを決断する。思春期で問題行動を起こすようになった息子と過ごす時間を優先したためだ。

 すると周りの、特に同世代の女性の目が変わったという。著者は、「家庭のために仕事を諦めた女」と見られ、それとなく格下げされたと感じた。そのときの考えをまとめた、女性と仕事についての記事は話題を呼び、その記事をもとに本書が執筆された。

 本書を貫くのは、「家庭を大切にする女性や、男性が世間に認めてもらえないのは、おかしい」という著者の想いだ。そもそも「仕事と家庭の両立」というフレーズは、なぜ女性のみの肩に負わされているのだろう。育児に積極的な男性が、出世コースを外されてしまうのはなぜなのだろう。著者は、仕事と家庭の両立に関する偏見や、性的役割分担の思い込みなどを明らかにしつつ、育児や介護などの「人の世話(ケア)」をもっと社会的に評価すべきだと提案する。さらに、そのために個人や企業がとりうる行動や、政策によってできることを指し示している。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)