ゆとり世代が転職を繰り返すのは社会にも原因がある

ゆとり世代が転職を繰り返すのは社会にも原因がある

「3年以内離職率、3割」「一つの仕事が長続きせず転職をくり返す」――ゆとり世代の現状をこのように評する声は少なくないが、果たしてそう言い切れるだろうか(写真はイメージです)

■要約者レビュー

「3年以内離職率、3割」「一つの仕事が長続きせず転職をくり返す」。ゆとり世代の現状をこのように評する声は少なくない。彼らは一社に固執せず、あたかも自発的に「自分らしいキャリア」を追い求めているように見える。だが、ちょっと待ってほしい。彼らがそうせざるを得ない「見えないメカニズム」が社会全体で働いているとしたらどうか?

「自分らしいキャリア」。この言葉がまとう違和感の正体を突き止め、若者をさらなる転職へと駆り立てる社会構造そのものにスポットライトを当てたのが本書『ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか?』だ。求職者の自己実現のための自律と、労働環境の変化に対する適応のための自律。若者は、これら両方の意味を含んだ「自律的キャリア」の形成を社会から促されているという。

 本書ではこの経緯をたどりながら、転職を経験したゆとり世代への綿密なインタビューをもとに、彼らのキャリア意識を分析する。その後、転職をくり返す若者が将来に向けて蓄積していくリスクと、それを「自己責任」の一言で済ませる風潮に異議を投げかける。さらには、社会がこうした若者たちのキャリア形成をどう支援していくべきかを考察する。ゆとり世代と同世代である社会学者ならではの分析と提言には、真に迫るものがある。

 ゆとり世代と一括りに論じられがちな若者が、いかに多様な葛藤を抱いて生きているのか。彼らのキャリアのリアルを知るのに格好の一冊だ。

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