透析中止事件で問われる「死の在り方」と「報道姿勢」

透析中止事件で問われる「死の在り方」と「報道姿勢」

福生病院の人工透析中止問題は、マスコミの報道と病院側の主張の間に、いくつもの矛盾がありました(写真はイメージです) Photo:PIXTA

東京都福生市の公立福生病院での人工透析治療をめぐり、様々な疑問が浮上している。透析患者の死亡までの経過にとどまらず、延命治療や終末期医療、腎臓移植、尊厳死、QOL(生活の質)、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)など多くの検討課題が俎上に載ってきた。

■「治療の中止」を許さないマスコミの報道姿勢への疑問

 まず第1の問題といえるのが、報道姿勢が問われているメディアについて、だ。

 3月7日の毎日新聞朝刊の「スクープ」が始まりだった。「医師、『死』の選択肢提示」「透析中止 患者死亡」「指針逸脱 都、立ち入り」という見出しを掲げる。前日に東京都が福生病院に立ち入り検査していた。

 その日の夕刊で、読売新聞が「透析中止提示 患者が死亡」、日本経済新聞が「透析中止提案」とする見出しで追いかけた。翌日の朝刊では、朝日新聞が「人工透析を中止 女性死亡」「医師が選択肢提示」、産経新聞が「透析中止を提示 患者死亡」、東京新聞は「医師が『選択肢』提示」「医師の提案『倫理上問題』」とする見出しで掲載し、全国紙が一斉に取り上げることになった。

 注目は、各新聞の見出しがほとんど同じこと。患者が死亡した原因は、医師が患者に透析の中止を提示したことで、問題だ、と訴えている。東京新聞の「倫理上問題」はその趣旨が最も分かりやすい見出しだ。

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