【精神科医が教える】日常の雑務を忘れて「知識の海を泳ぐ快感」を与えてくれる一冊とは?

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AIざっくり要約

  • 本書『すばらしい医学』は医学の歴史や人体の知識をわかりやすく紹介し読者を魅了する。
  • 著者は読者を知識の海へと誘い、多くの興味深い医学のエピソードで読みふけらせる。
  • 医学は人体を支える一方で、過去の多くの努力の上に成り立っているという点をこの本は伝え、読後の思いに残る一冊だ。

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【精神科医が教える】日常の雑務を忘れて「知識の海を泳ぐ快感」を与えてくれる一冊とは?

Photo: Adobe Stock

人はなぜ病気になるのか?、ヒポクラテスとがん、奇跡の薬は化学兵器から生まれた、医療ドラマでは描かれない手術のリアル、医学は弱くて儚い人体を支える…。外科医けいゆうとして、ブログ累計1000万PV超、X(twitter)で約10万人のフォロワーを持つ著者(@keiyou30)が、医学の歴史、人が病気になるしくみ、人体の驚異のメカニズム、薬やワクチンの発見をめぐるエピソード、人類を脅かす病との戦い、古代から凄まじい進歩を遂げた手術の歴史などを紹介する『すばらしい医学』が発刊された。池谷裕二氏(東京大学薬学部教授、脳研究者)「気づけば読みふけってしまった。“よく知っていたはずの自分の体について実は何も知らなかった”という番狂わせに快感神経が刺激されまくるから」と賛辞を寄せている。今回は、精神科医 Tomy氏に本書の読みどころを寄稿していただいた。

■知りたいという心

「学問の始まりは童心である」と僕は思う。

 子どものころ、周りの世界は知らないものだらけであった。その全てが僕を魅了し、少しでも何かを「知りたい」と思った。

■知識の海を旅する高揚感

 図書館で片っ端から本を漁り、自分の興味の赴くまま、知識の海を泳ぐ。いつのまにか僕も中年になり、日々の些末な処理に追われて、その感覚を忘れそうになっていた。

 しかし、この本を手に取ることにより、再びあのときの僕が蘇ってきた。

 次から次へと登場する、「医学の知識」の数々。たとえば、ドクトカゲから作られた薬。ニトログリセリンの薬効が判明した経緯。天然痘で死亡した最後のケースの悲しい物語。それが実にわかりやすく、心地よいリズムを伴って披露されていくのである。

 著者の山本健人氏が、船長となって知識の海へと航行する。そんな船の乗客になった気分だ。これと同じ感覚は以前もあった。ベストセラーとなった前著「すばらしい人体」を読んだときである。

 あのときのワクワクとした感覚が心に残っている読者も多いはずだ。そして、また夢中になりたいと思っているのではないだろうか。

■最高の読書体験

 そうであれば、この本はまさにその期待に答えてくれるはずだ。ただ今回の旅は、医学史を俯瞰したもので、前回とコースが違う。ただそこに吹く風は同じものである。

 著者の先人達への熱き想い、医学や人体に対する畏敬の念、そういったもので溢れている。僕も一応医師の端くれではあるが、この風に当たるたびに著者の真摯な思いに感服する。

 そう、今簡単に受けられる医療も、決して当り前のものではない。過去の多くの涙と汗と、血によって築きあげられたものである。

 だからこそ、その「すばらしさ」を誰もが感じるのだ。

 この本が教えてくれるのは、ただの知識ではない。医学、いや人類が今まで築きあげてきたものに対する姿勢である。

 とはいえ、決して押しつけがましいものではない。著書である氏が、きっとそういう思いで物事に向き合っているのだ。

 だからそれを読む者にも、十二分に伝わってくる。そして、それが余韻のある読後感につながっているのだろう。

 何も堅苦しく構える必要はない。読者は、安心して著者に任せて、医学の知識を探求する旅へ誘われれば良い。期待を裏切らない、いやそれをはるかに上回る読書体験が得られるはずだ。

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