「IKEAのキッチン」は、なぜリノベの現場で売れないのか?

そういう過剰反応があらゆるものを「つまらなくしている」と思います。

たとえばドアが木製のIKEAのキッチンって、とってもおしゃれ、かつ格安なのに、ドアにわずかな隙間があったりするわけですよ。それにたいして数ミリの誤差も許さない日本の消費者は「不良品だから取り替えろ」とか「補償しろ」なんて言い出す。

そんな経験を一度でもしたら、リノベ会社としてはIKEAのキッチンなんて使いたくなくなる。国内メーカーの大量生産系の商品にすればクレームは起こらないわけですから。

精密部品に求められるような品質の均一性を建材にまで求める消費者が業界を委縮させ、大量生産される製品ばかりでできた画一的な「新築マンション」「建て売り住宅」が氾濫する事態につながってるように思えます。

島原 かつて大量生産をしなければいけない時期もありました。年間170万戸近く、新築の家を建てていた頃です。

ちきりん 人口がどんどん増えてた高度経済成長の時代ですね。

島原 そのときには「右から左」で物を作らなければいけないので、製品にムラのある無垢の材料は使っていられないという建築側の事情もあったはずです。大量生産品の均質さや施工性の良さがとてもありがたかったんですね。ただ、それが過ぎた後にも関わらず、ちきりんさんがおっしゃったように、ものすごく神経質な日本の消費者の存在が家の中をとても画一的、均一的にしてきた。それが、偽物のフローリングに、天然木のような質感を持たせる技術開発をするような、冷静に考えるとおかしな現象を起こさせたのかもしれません。【続く】

(構成/長谷川賢人 写真/疋田千里)

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