英国が完全キャッシュレスにNO、日本も無視できない理由とは

英国が完全キャッシュレスにNO、日本も無視できない理由とは

スマートフォンのアプリを用いて、筆者の友人が英国のデビットカードを使った際の画面 Photo by Izuru Kato

英国ではキャッシュレス化がここ数年で劇的に進んだ。主要銀行が共通の非接触式デビットカードを発行し、地下鉄など交通系カードと融合させたことで、それがあっという間にキャッシュレスのスタンダードとなった(QRコード式はほとんど普及していない)。

 同国の紙幣流通残高の平均変化率は、2016年は+8.3%だったが、17年に+5.3%に低下。18年は+0.02%とほとんど増えなくなった。街中のATMは急速に撤去されている。

 日本政府はキャッシュレスを推進しようと懸命なので、そういった状況は理想的に見えるのかもしれない。ところが逆に英国の国会では、キャッシュレス化の進展にブレーキをかけるべきだという議論が活発化している。

 財務委員会のニッキー・モーガン委員長(保守党)は3月13日にフィリップ・ハモンド財務相に公開書簡を送った。キャッシュレス化に取り残される弱者(高齢者や低所得層)がいる問題を財務省はどの程度認識しているのか、現金が利用可能な状態が維持されるように包括的な対策を取るべきではないか、と同委員会は投げ掛け、主張したのだ。

 これに対してハモンド財務相は5月2日、現金が必要な人々向けのセーフガード(救済措置)の用意を政府は約束すると回答している。そこで5月13日の財務委員会では、完全キャッシュレス社会の早期到来を防ぐためのより踏み込んだ議論が行われた。

 同委員会や英政府が議論のたたき台に使っている調査報告書がある。今年3月に公表された「Access to Cash Review」だ。これによると、個々の金融機関や店舗が効率性を重視する観点から現金の取り扱いを縮小していくと、どこかの時点で現金流通に必要な社会のインフラが失われ、後戻りできない状況になり得る。今のままだと26年には現金が使えない社会になる可能性があるという。

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