酒で離婚、ホームレスに…医療刑務所で最期を迎えた男性の痛恨

酒で離婚、ホームレスに…医療刑務所で最期を迎えた男性の痛恨

酒に溺れ、家庭は崩壊、ホームレスになって窃盗を繰り返したたかしさんが最期に思い描いたのは、別れた妻と子どもたちとの再会だったのだが...(写真はイメージです) Photo:PIXTA

アルコールや薬物などに依存して体を壊し、人生の終末期を医療刑務所で過ごす受刑者もいる。生活保護受給だけでは、彼らが自立するのは極めて難しい。今回、そんな受刑者の1人、たかしさん(仮名)に話を聞くことができた。(ジャーナリスト 横田由美子)

■末期がんの受刑者たかしさんとの対面

「かなり悪くなっていますよ。今週末を越えられるかどうか…。本人はもちろんわかっています。告知もしていますから。でも、受け入れられないんですよ」

 たかしさん(62歳)のインタビューを終えて診察室を出た私に、優しそうな担当看護師はこう告げた。

 私は、がくぜんとした。確かに黄疸が出ていて、顔色はみかんのようだった。膝から下の浮腫がひどくて、足は象のように腫れ上がっていた。でも、そこそこ元気そうに見えたのだ。

「病室からここまで車椅子で来たんですが、ひと苦労なんです。看護師さんに手伝ってもらったんだけど、すごく疲れる。トイレに行くのも大変です。転んで骨折でもしたら、また迷惑かけちゃうし」

 とは話していたが、まさかそこまでの重病人だとは思わなかった。話し方も丁寧で明るかったし、なにより饒舌だった。私は、自分の浅はかさを呪った。録音データを聞き直してみれば、たかしさんが“末期患者”である兆候はあちこちにあった。

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