自分の存在価値を 問い続ける【前編】

作田久男氏は、創業家以外から初めてオムロン社長に就任したサラリーマン出身の経営者である。現実を直視し本質に鋭く斬り込む行動力は、自分の生きざまを貫き続けてきた人だけが持つ、いぶし銀の迫力に富んでいる。そこには何かにおもねる忖度はない。あるのは、時代の変化を見据え、常に問い続けてきた「自分の存在価値」そのものだ。
 そんな作田氏は、必ずしも「結果」がすべてではないと語る。ミッション(何をやりたいのか)、ビジョン(どのように実現するのか)、バリュー(なぜやるのか)を明確にし、それを極めようとする「プロセス」こそ、自分の存在価値を示すのに重要だと言う。
 オムロンでは、21世紀にふさわしいグローバル企業になるための基盤を企業理念やガバナンスの根本から整備し、画期的な後継者選びの方法と相まって、同社を新次元へと脱皮させる契機をつくった。
 そしてオムロン会長退任後に託されたのは、「日の丸半導体」と呼ばれるルネサスエレクトロニクスの再生だ。
 日立製作所、三菱電機、NEC3社の半導体事業部門の合併で生まれ、連続赤字に歯止めがかからず倒産の瀬戸際にあった同社を、世界で戦える自律≠オた経営体とするため、鬼気迫る生き残り策を展開。半導体製造の工程になぞらえて、「前工程=生き残り」と「後工程=勝ち残り」に分け、自分の役割を前工程と見定めて、すさまじいリストラにおいても矢面に立ち続けた。

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