“知の爆発”が起きた 古代ギリシャの哲学者、 ソクラテス、プラトン、アリストテレスが 私たちに教えてくれる「真の教養」とは?

ソクラテスの登場が哲学的に見て、一つの大きな転換点になったと考えられていたからです。詳しくは本書に譲りますが、現在では、ソクラテスの登場がそれほど大きな事件だったかどうかについては争いがあり、価値中立的な「初期ギリシャ哲学」と呼ぶ場合が多いようです。

ソクラテスは、人間の内面に思索(しさく)の糸をおろしています。
「世界はどうなっているんですか」と問う人に対して、ソクラテスは逆にこう問いかけたのです。
「世界はどうなっているのか、と考えるあなたはあなた自身について何を知っていますか。人間は何を知っているのですか」ソクラテスはこの質問を人々に投げかけ、対話することで考えを深め、人々に「不知の自覚」を教えようと努めました。「ソクラテス以後」の哲学は、人間の内面に向かい、生きることについての問いかけを始めたことに大きな意味がありました。

――「不知の自覚」とは、どういうことですか?

出口:わかりやすく述べると、暗闇の中で何人かの人が集まって象を撫(な)でている状態と似ています。
鼻を撫でた人は、細長い生き物だと思い、足を撫でた人は太い柱みたいだと思い、耳を撫でた人は大きな団扇(うちわ)みたいだと思う。誰もが本当の象の姿を知らないまま、自分は象の姿形を知っていると思っている。ソクラテスのいう「不知の自覚」とは、まさにこのような状態を指していたのではないでしょうか。

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