【山口周】専門家はぶっちゃけ、 本当に能力があるのか?



 しかし、このような考え方のもとに、無批判に専門家の意見や指示に従うのは典型的なオールドタイプの行動様式になりつつあります。

 なぜそのように指摘できるか。今日、このような専門家のパフォーマンスが、それと対比される「門外漢」のそれと比較して、相対的に低下していることを示す事例が増えているからです。

 たとえばゲノム研究者のカリム・ラクハニらは、白血球のゲノム配列を解析するアルゴリズムの性能を向上させるためにクラウドソーシングを利用したところ、免疫遺伝学とは関係のない門外漢から多くの回答を得、そのうちいくつかの回答は、既存のアルゴリズムを大幅に上回る精度と速度を達成した、と発表しました(*3)。

 この他にも、近年では、専門家が頭を抱えてきた多くの難問について、門外漢が問題を解決するという事例が数多く報告されています。

 私たちは航空宇宙局(NASA)、医学大学院、有名企業などのために、クラウドを対象とするコンペティションを過去五年間で700回以上実施してきた。うち、クラウドが集まらなかった、つまり誰も問題に挑戦しようとしなかったのは一回だけだった。それ以外のコンペティションでは、既存のやり方とすくなくとも同等か、大幅に上回る結果が得られている。
――アンドリュー・マカフィー他『プラットフォームの経済学』

 これは一体どういうことなのでしょうか? 資金も人材も機材も豊富に抱えているNASAや大企業のような組織は、彼らが専門とする領域について、最も高度な問題解決力を持っているはずです。

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