え――!? なんで、私が社長をやるんですか?

果たして、早苗は1年で会社を立て直せるのか?

■臨時株主総会

 東京都墨田区向島にある時計部品メーカー千葉精密工業の会議室では、これから臨時株主総会が始まろうとしていた。

 「俺は部品屋では終わらんぞ。いつか必ずオリジナルの機械式時計を作るんだ!」

 千葉早苗は、父の大吉がいつも口癖のようにそう言っていたことを思い出していた。

 1976年に創業した千葉精密工業は、大手時計メーカーの一次下請けとして機械式時計の「ムーブメント(機械式時計を動かす主要部品)」を製造する町工場だ。

 創業時は3人だけだった会社も、現在ではパート社員を含めて130人を抱えるまでに成長した。

 幼くして病気で母を亡くした早苗にとって、父の職場に遊びに行くのはごくふつうのことであった。工場の社員たちも、早苗をわが子のようにかわいがってくれた。

 早苗にとって千葉精密の社員たちは、まさに「家族」のような存在となった。大学を卒業後、早苗が千葉精密で働くようになったのも自然な流れであった。早苗にとっては、父や工場の人と一緒に働ける日々は、平凡ながらもとても充実していた。

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