【お寺の掲示板54】沢庵和尚の戒め「前後際断」


中村元監修『原始仏典〈第7巻〉中部経典4』 (春秋社)

 この文章と同じような意味を持つ禅の言葉に「前後際断(ぜんごさいだん)」があります。臨済宗の沢庵禅師が『不動智神妙録(ふどうちしんみょうろく)』という書物の中でも言及しておられますが、「前(過去)と今、今と後(未来)の際を切り離して今を生きよ」という意味です。

 日本ハムや阪神で以前活躍された下柳剛選手は、不調に陥っていた時、メンタルトレーナーから『不動智神妙録』を読むように勧められ、この言葉に強い感銘を受けました。ピッチャーは失投して打たれたとしても、試合中に一球の後悔をひきずるわけにはいきません。試合は続いていきます。過去を切り離す強靭(きょうじん)なメンタルが常に求められるのです。

 阪神に移籍してすぐの頃、下柳投手は自身のグローブに「前後際断」と刺繍して、どんな状況に陥ってもマウンドでその言葉を常に見ながら、目の前の一球に全力を尽くすことを心掛けたそうです。その結果、不振から脱却し、3年後の37歳のときには最年長での最多勝利賞を獲得しています。

 この姿勢は、生きていくうえで何かのヒントになるのではないでしょうか?

 ちなみにこの「前後際断」は、赤塚不二夫さんの人生観にも共通するところがあります。タモリさんは赤塚不二夫さんの葬儀の弔辞の中で赤塚さんの価値観を以下のように表現していました。

関連記事(外部サイト)