英雄や夢物語でなく、誰もが失敗を冒し迷っているから共感できる!ビジネスパーソンにお薦めのオペラについて、ドニゼッティ音楽祭芸術監督に聞く

映画は“オペラのお気に入りの息子”です。

 さらに『ラ・ボエーム』は、ヨーロッパで最もロマンティックな街であるパリを舞台にしています。近代的な大都市で騒々しくせわしないにもかかわらず、いやむしろそれゆえに、パリは美しく魅力的な街です。そのようにこの作品は、人々に夢を見させるオペラという形態でありながら、さまざまな問題や、平凡で普通の人々について語っています。これは非常に稀なことです。

 オペラの中では一般に、英雄たちが戦って死ぬといった特別の事態が語られます。主人公たちの愛は絶対的なもので、愛が終わるのは死ぬ時だけなのです。

 それに対して『ラ・ボエーム』の登場人物たちは、苦労して生きる道を探している若者たちで、誰もが失敗を犯し、迷っています……ちょうど今日の若者たちが、残念ながらしばしばそうであるように。二人の主人公たちの愛が不幸な結果に終わったのは、勇気や抵抗する力がなかったこと、疲れや倦怠などによるもので、これらもまさに、残念ながら非常にしばしば、私たち自身やその恋愛関係において起こることです。ヒロインのミミは結核で命を落としますが、科学がいまだ勝つことができない数々の病気のために若くして死んでしまう人は、現代にも残念ながら多くいます。

 『ラ・ボエーム』は、夢と現実の人生について同時に語ってくれるという点で、ほかのどんなオペラよりも雄弁です。

 人生と愛と、そしてパリに恋をさせるオペラです。

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