参院選買収問題と「ゲーム理論」――選挙戦の「買収戦略」が大胆になるのは、必然である

2019年の参議院選広島選挙区において、約100人の地方議員らに票の取りまとめの報酬として巨額の資金を配っていたとの疑いによるものだ。

 この選挙区では、議席数2をかけて、7人の候補者が選挙活動を繰り広げた。中でも注目を集めたのは森本真治氏、河井案里氏、溝手顕正氏の3人。結果は、森本氏が1位当選、河井氏が2位、そして2.5%差で溝手氏が次点となった。残りの4人の得票数は、すべて足し合わせても3位溝手氏の半分にも及ばなかった。

 本件はいまだに「容疑」レベルであり、しかも本人たちがその容疑、特に買収目的での現金配布を否認しているので、ここでは河井夫妻が買収に関わったかどうかは論じない。

 ただ、一般に買収問題についてより深く理解するために、典型的な選挙でどのようなときに候補者は大規模な買収をしたくなるのか、これを考えてみたい。

 大規模な買収をすると、どこかでボロが出てバレても仕方ないではないか? このように思われる方もいるかもしれない。しかし社会の中での意思決定を分析する「ゲーム理論」的に考えると、買収戦略が大胆になるのは、必然であると私は考える。この点を、本稿では解説していこう。

 まず、買収がモノを言うのは、接戦の時だ。このことを理解するために、仮に候補者3人(Aさん、Bさん、Cさん)が2議席を争っている選挙区を考えよう。

 まず、Aさんは上位2位に余裕で食い込めるとする。すると、買収という危ない橋を渡らなくても、当選できる。だから、買収に手を染めたりはしないだろう。逆に言うと、ギリギリの戦いであるからこそ、買収する動機が生まれるのである。

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