「絶滅できない動物たち」が私たちに突きつける“禁断の疑問”

「絶滅できない動物たち」が私たちに突きつける“禁断の疑問”

キハンシヒキガエル

厳重に「保護」された滅菌室にしか存在しない、絶滅寸前のカエル。
周囲を軍隊に警備されて繁殖を強いられた、地球上に2頭しかいないキタシロサイ。
50億羽をわずか100年で絶滅させた張本人にDNAから「復元」されつつあるリョコウバト。
飼育下繁殖から、iPS細胞、ゲノム編集まで、絶滅に挑むテクノロジーと自然保護の現場を徹底取材し、養老孟司氏や鴻巣友季子氏はじめ、書評続々の傑作ノンフィクション『絶滅できない動物たち』。本書誕生のきっかけには、著者であるジャーナリスト、オコナー氏がニューヨークの動物園で突きつけられたという「禁断の疑問」があったという。いったいそれはどんな疑問で、なぜ禁断なのか? 同書「はじめに」より、臨場感あふれるそのシーンと、同書に登場する「絶滅できない動物たち」の一覧とともにご紹介しよう。

■「生命維持装置」につながれた黄色いカエル

 数年前、わたしはブロンクス動物園の「爬虫類の部屋」の裏手にいた。小さな窓ガラスから中を覗くと、陸生飼育器(テラリウム)がずらりと並んでいた。結露ができたテラリウムの側面越しに、緑の苔をよじのぼっている十数匹の黄色いカエルがいるのが、ぼんやりながらもわかった。キハンシヒキガエルだ。もっとそばで見たかったが、部屋は立入禁止だった。中に入れるのは、カエルの世話をしている爬虫両生類学者だけだ。

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