「絶滅できない動物たち」が私たちに突きつける“禁断の疑問”

生きものの生態が技術によってますます支配されてゆく未来に向かうにつれ、わたしたちは「どの自然」を保護すべきだろうか。自然はわたしたちの利益に資するために存在しているのか、それとも自然自体に保護する価値があるのか。

■「復活の科学」に携わる人間たちの物語

 脱絶滅に取り組んでいる個々の人間は素晴らしいし、見ならうべき刺激的な人々もいることはいる。だが、人間が現存の種とやっとのことで共存している時代に、復活させた動物を世界に戻す方法を示した者はそういない。

 フロリダパンサーは、かつては20世紀半ばに絶滅したと考えられていた。しかし、残っていた個体群が伝説の捕食動物ハンターによってフロリダ南部で発見されたときには、重度の近親交配の症状が現われていた。1990年代初めに遺伝子救済作戦が実施されると数は増えたものの、現在はかつての生息地のごく一部でしかない狭い面積に閉じこめられている。その周りを、増えつづけるフロリダ州民が取りかこむ。「パンサーが再発見された当時より丈夫になったという意味では成功したといえるが、パンサーは檻のなかで育てられているようなものだ」と見ているのは、パンサーなどの捕食動物を長年追跡してきたロッキー・マクブライドだ。

 わたし自身、これまで絶滅の物語にずっと向きあってきて、「6度目の大絶滅」という表現は、減少の一途をたどる生物の多様性の問題の規模と本質を把握するのに役に立たないと思うようになった。

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