新日本酒紀行「るみ子の酒」

新日本酒紀行「るみ子の酒」

創業1897年。蔵は伊勢神宮に続く大和街道沿い Photo by Yohko Yamamoto

■女性杜氏の草分け!るみ子さんが醸す人生懸けた純米酒

 女性杜氏の草分けである森喜酒造場5代目の森喜るみ子さん。大阪大学薬学部を卒業し、製薬会社に勤務中、父が脳梗塞で倒れる。急きょ結婚して1989年に家業を継ぐが、人手不足のため、妊娠中でも朝4時に起き、30kgの米袋を運んだ。家計を助けるため薬剤師の免許を生かして薬局にも勤務。さらに3人の子育てが加わり、分刻みの日々を過ごしていた。

 そのとき出合った漫画が『夏子の酒』だ。

 主人公は自分と同じ造り酒屋の跡取り娘。境遇が似ていて、思い悩む姿に共感。あふれる思いを手紙に書き、原作者の尾瀬あきらさんに送ると、純米酒蔵として知られる神亀酒造の小川原良征さんを紹介された。

 酒造りの指導を受け、自ら杜氏になることを決意。92年に無我夢中で醸した酒を尾瀬さんが「るみ子の酒」と命名し、ラベルの絵を描いてくれた。

 家の田んぼが圃場整備されたのを契機に、酒米の山田錦の無農薬栽培を開始。今、田んぼは9反に増え、酒全体の1割を賄う。99年からは全量が純米酒になった。

 蔵人は少しずつ増え、東京農業大学短大を卒業後すぐに蔵入りした豊本理恵さんは今季で20年目、杜氏も務める。娘の希さんも蔵人になり、少しずつ光が見えた。

 だが1897年創業の蔵は古く、70年使った搾り機が壊れ、中古の搾り機を導入するも制御盤が故障。修理費が100万円と聞き、手動でバルブの調節を行う。

 次々と試練が襲うが、「醸すに追い付く貧乏なし」と、るみ子さんは笑う。

 酒造り31年目の冬を迎える。

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