63歳で芥川賞受賞の若竹千佐子さん「年をとるのって、思っている以上にらくですよ」

63歳で芥川賞受賞の若竹千佐子さん「年をとるのって、思っている以上にらくですよ」

若竹千佐子さん 撮影/齋藤周造

主人公は、夫に先立たれ子どもとは疎遠でひとり暮らしを送る74歳の桃子さん。彼女の内なる声を通し、新たなる老いの境地を描いた話題作が若竹千佐子さんの『おらおらでひとりいぐも』。63歳で第54回文藝賞と第158回芥川賞を受賞した本作は、若竹さんのデビュー作でもある。

「ひとりのおばあさんの経験を通して、その人が考えたり感じたりした“おばあさんの哲学”を書こうと思ったんです。1964年の東京オリンピックのころから何らかのきっかけで人生が動き出すような人を描いてみたい。そう考えていたこともあり、1940年生まれで現在は74歳の桃子さんという女性像が自然とできあがりました」

 主人公の桃子さんの生活は自宅でお茶を飲んだり、病院やお墓参りに出かけたりとごくごく普通。にもかかわらず、物語からは濃厚な人間像が伝わってくる。

「例えば、他人に居丈高にふるまっている人が実は小心者だったりとか、人間はいろいろな矛盾を抱えながらできあがっている存在だと思うんです。この物語の桃子さんは、はたからみればお茶を飲んでいるだけなのですが、脳内ではいろいろな桃子さんによって豊かな会話が繰り広げられているんです」

 また、桃子さんの内面から湧き上がる東北弁も印象深い。

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