<新刊レビュー>因習に縛られた港町の物語、衝撃的な人口減少問題、貧血女子手帖

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■『冬雷』
(遠田潤子=著 1800円+税 東京創元社)

 都会の施設に捨てられた少年が、狭い人間関係と古い因習に縛られた港町に引き取られる。少年は養父の事業を継ぐことを期待され、同時に後継者の義務である鷹匠の修業も始める。やがて親戚筋にあたる神社の巫女である美少女と心を通わせるが、ある悲劇に襲われ、人生を狂わされる──。

 本書の最大の特徴は、物語の根底を流れる薄暗くドロリとした空気。それは土地のしがらみであり、同調圧力であり、よそ者への敵意である。特別な狂人が事件を起こすのではなく、土地がゆっくりと人々の視野を狭め、いちばん弱いものがジョーカーを引く。そして真相が闇の中に葬りさられていくさまを、読者はじわじわと読み進めることになる。

 捨てられた少年は孤独ではあるが自由であり、家族や土地を持つ人々は、疎ましさと煩わしさにとらわれている。ラストシーンの希望を予感させる終わり方に、停滞せず進もうとする人の美しさを見た。

(文/中尾巴)

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