研究者から小説家へと転身した伊与原新さん、科学を通して描く「人間ドラマ」

研究者から小説家へと転身した伊与原新さん、科学を通して描く「人間ドラマ」

伊与原新 撮影/北村史成

伊与原新さんの最新刊『月まで三キロ』は、科学や研究者の世界を交えながらさまざまな人間模様を描いた6つの物語からなる短編集。伊与原さんは、地球物理学の研究をしていた元科学者だ。

「編集者の方と『科学の世界に、ふと、偶然触れてしまった人に何が起こるのか、という短編小説はどうでしょう』と話したことが、この短編集を書くきっかけとなりました。

 ただ、ミステリーでもなく、エンタメの王道でもない小説ですから。おもしろく読んでもらえる作品になるのかどうか確信を持てないまま、手探り状態で書き進めました。1冊にまとまったものはわりと喜んで読んでもらえているので、僕自身、意外な驚きを感じています」

 本書に収録されている6編のうち、最初に書き上げたのは、表題作でもある『月まで三キロ』。起業した会社も結婚も破綻して借金だけが残り、死に場所を探す中年の男と、彼を乗せたタクシー運転手の人生が交錯する物語だ。この小説は、とあるモノをきっかけに物語が創られていったという。

「そのモノ自体はすごくロマンチックなのですが、でも、ストーリーは違ったものにしたかったんです。そこで、絶望した男の物語にしようと思い、ストーリーを考えはじめました。また、自分の昔の専門分野に近いこともあり、月に関する科学的な知識も少し取り入れようと思いました」

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