元祖キャラ小説『ノートル=ダム・ド・パリ』

元祖キャラ小説『ノートル=ダム・ド・パリ』

元祖キャラ小説『ノートル=ダム・ド・パリ』の画像

神話においては、「おおまかなストーリー」のほかに、もう一つ変わらないものがあります。それはマンガ・アニメ用語でいう「キャラ」です。神話では、ストーリーは無限に再話され、変奏され、登場人物の行動や言葉にさまざまなバリエーションが加えられますが、基本的なキャラクター、つまりキャラは変わりません。というよりも、キャラを変えることは禁じられています。なぜなら、無数の作者・語り手が新しい要素を付け加えていくには「キャラ」の同一性が保たれていなくてはいけないからです。



代表的な4人の登場人物の「キャラ立ち」ぶりを見てみましょう。フランス文学者で、明治大学教授の鹿島茂(かしま・しげる)さんが解説します。




* * *




『ノートル=ダム・ド・パリ』にはもう一つ、他の小説と決定的に違うところがあります。それは、構造が演劇的なつくり方になっているという点です。



小説のつくり方は、作者が自己の代弁者となるような登場人物を一人選び、その人物の視点や語り口に仮託しながら物語を語っていくのが常道です。読者はその登場人物の視点から物語の世界を眺め、理解してゆきます。小説が三人称で語られている場合も同じことです。

1 2 3 4 5 次へ

関連記事(外部サイト)