読みにくいのになぜ人気? 『ノートル=ダム・ド・パリ』の秘密

『ノートル=ダム・ド・パリ』(1831)は、『レ・ミゼラブル』(1862)と並ぶ、19世紀フランスの文豪ヴィクトル・ユゴー(1802〜85)の代表的な長編小説です。どちらも映画やミュージカル、アニメなどに翻案されて人気を博し、何度も繰り返しリメイクされていますから、だいたいのストーリーをご存じの方も少なくないでしょう。フランス文学者で、明治大学教授の鹿島茂(かしま・しげる)さんは、これらの作品が長きに渡り愛される秘密は、その構造にあると指摘します。




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これらの作品の原作を読んだことがある方がどのくらいいらっしゃるかというと、おおよそのストーリーや有名なキャラクター──たとえば『レ・ミゼラブル』ならジャン・ヴァルジャン、『ノートル=ダム・ド・パリ』ならカジモド──は知っていても原作は一度も読んだことがないという人のほうが、圧倒的多数派のようなのです。翻案や少年少女向けの抄訳によってなんとなく読んだような気になっているため、わざわざ原作を手に取る気になれないという人がほとんどでしょう。しかし、なかには、映画やミュージカルで興味を持ち、試しに読んでみようと思い立つ人もいるかもしれません。しかし、いざ読もうとして本を開いても、出だしからびっくりして「何だコレは?」と面食らってしまうはずです。

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