「最後のNHK杯かも」 結城聡九段の苦悩

「最後のNHK杯かも」 結城聡九段の苦悩

左/結城聡九段、右/大竹優五段 撮影:小松士郎

第69回 NHK杯 1回戦 第4局は結城 聡(ゆうき・さとし)九段【黒】と大竹 優(おおたけ・ゆう)五段【白】の対局となった。村上 深さんの観戦記から、序盤の展開をお届けする。




* * *




本局は結城聡九段の自戦解説である。本来であれば結城の主観で書くべきだが、今回はあえて記者の主観で書かせていただく。理由がある。結城の言葉から痛みを感じたからだ。



結城は負けた。敗戦後すぐの取材だったため、まともに話を聞けるだろうか、と私は不安だった。果たして、盤上のことはポツリ、ポツリと話す。深く聞いていくのも難しい雰囲気で、正直ちょっと困ってしまった。



盤上の振り返りを終え、雑談。結城は少し落ち着きを取り戻してきた。これが面白かった。家族のこと。棋士としての在り方。時折、私は寂しさに襲われた。これは恐らく、私も幼少期にプロを目指したことがある経験と、その時に培った価値観を刺激したからだ。



心情的には、敗者に光を当てることをどうしても遠慮してしまう。だが、極論すれば優勝者以外は皆等しく敗者とも言える。結城の言葉を借りて、棋士の苦悩をお伝えしていきたい。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)