本との心中を選んだおばあさんがモンターグに教えたこと

本との心中を選んだおばあさんがモンターグに教えたこと

本との心中を選んだおばあさんがモンターグに教えたことの画像

最初の教師クラリスが突如姿を消し、次にモンターグの前に現れるのは、ファイアマンとして出動した先のボロ家に住む老婆でした。彼女は逃げようともせず、次のセリフを口にします。



「《男らしくふるまいましょう、リドリー主教。きょうこの日、神のみ恵みによってこの英国に聖なるロウソクを灯すのです。二度と火の消えることのないロウソクを》」



このセリフは、1555年、英国国教会の主教ヒュー・ラティマーが、カトリックである女王メアリー一世に弾圧され火あぶりの刑に処せられるとき、一緒に処刑されたニコラス・リドリー主教に語ったとされる言葉です。それを引用して口にしたということは、おばあさんは自分の信仰を守るため、自分が信仰する本とともに燃えて死ぬ覚悟であることを示しています。モンターグはおばあさんを連れ出そうと彼女に懇願までするのですが、彼女は「行って」と言い自らマッチをすり、本と共に焼け死ぬ運命を選びます。第二の教師であるおばあさんはモンターグに何を教えたのでしょうか。名古屋大学大学院情報学研究科教授の戸田山和久(とだやま・かずひさ)さんが読み解きます。




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クラリスに取って代わる第二の先生はおばあさんです。

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