青木喜久代八段、臨月で放った無心の一手

青木喜久代八段、臨月で放った無心の一手

撮影:小松士郎

青木喜久代八段、臨月で放った無心の一手

青木喜久代八段、臨月で放った無心の一手の画像

『NHK 囲碁講座』の連載「シリーズ 一手を語る」に女流棋士が初登場です。青木喜久代(あおき・きくよ)八段は「ほとんど記憶に残っていない碁が多い」と笑う、おおらかなお人柄。今回は「この碁だけは忘れることができない」という一局から、特に印象深い一手を語っていただきました。




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\r\n■3年連続のタイトル戦\r\n


2002年の女流名人戦の第2局から、今回の一手を選びました。タイトルを取った対局の中でも、いちばん思い出深い碁です。当時私は妊娠していて、臨月に入っていたのですね。ですからいつ生まれてもおかしくない状況。そのうえ、負けると1週間後に第3局を打たなければいけない。「生まれたらどうしよう」と思っていて、対局日まで、「まだ出てこないでね」(笑)と言い聞かせながら毎日を過ごしていました。



二人目の子どもでしたので、妊娠しているときの対局という経験はあったのですが、タイトル戦では初めて。何かあってはいけないという責任感もありますし、やはりふだんの対局とは緊張感が全く違いました。大変でしたけれど、お相手の小林泉美さんもやりにくかったと思います。



同じ女流名人戦で、2年前に泉美さんの挑戦を受けたときは防衛。前年は泉美さんにタイトルを譲り、その年は私が挑戦者。3年連続の泉美さんとのタイトル戦でした。



でも、取り返すぞというような気負いは全くなかったのですね。

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