「強い人と指したいと思ったことが一度もない」──藤井猛九段の勉強法

「強い人と指したいと思ったことが一度もない」──藤井猛九段の勉強法

写真/河井邦彦

今回登場するのは、木村一基(きむら・かずき)八段からバトンを受けた藤井 猛(ふじい・たけし)九段。実戦の指し過ぎに注意するとともに、負けた将棋ではなく、勝った将棋を反省するのが大事という話は必見だ。




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\r\n■得意戦法を持って厳選して指す\r\n


棋士のインタビューを見ていると、「強い人と指したい」といった回答が多いと感じます。私ですか? むしろ逆です。強い人と指したいと思ったことが一度もありません。



上達するためには自分より棋力がほんの少し下の人と指すのがベストだと考えます。負け将棋から多くを学ぶとよく言われますが、私は賛同しません。勝局の中にも反省する材料はいくらでもあります。勝つと満足感を得られて精神的に楽ですからね。



私は実戦をあまり指さずに奨励会入りをしました。負けると熱くなるタイプの性格ですから、最善の選択だったと思います。自分がどの程度の棋力なのか把握できなかったことも、自信を失うことなく頑張ることができた要因です。



先月号でも述べたように私はスタートが遅く、当時の実力を正確に知っていたら、絶望感を抱いて続かなかったことでしょう。実戦不足でしたので手の見え方は遅かったですね。長考派でした。



実戦の指し過ぎには細心の注意を払いました。1日に何十番も指すと最後はどうしても惰性になってしまい、身が入りません。「熱いっ、もう一番!」では意味がありません。

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