ポケモン、「ゆるキャラ」──現代日本人の中に生きる「野生の思考」

「野生の思考」と「出来事」の世界との矛盾を調和させようと努力して、一定の成功をおさめているように見える世界がある。それが日本である──。そんな風に考えていたのではないかと思わせるほどに、フランス人の人類学者クロード・レヴィ=ストロースが日本に注いでいた関心と愛情には格別なものがありました。計5回もの来日を重ねたレヴィ=ストロースは、日本で受けた印象の一つとして、この国の人々は「自然を人間化する」と語りました。日本には人間の手の入っていない風景はほとんどなく、自然といわれているものにも、何らかの形で人間の「はたらき」が入っている。それは、職人の仕事における「はたらき」と同じ受動的な性格をもち、それをもって日本人の環境はつくり出されてきたのではないか──。明治大学野生の科学研究所所長の中沢新一(なかざわ・しんいち)さんは、現代日本人の中に「野生の思考」が根強く生きていると考えます。




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私は以前に『ポケットの中の野生』(1997、新版『ポケモンの神話学』2016)という「ポケモン(ポケットモンスター)」研究の本を書きましたが、そこでもこのことがテーマとなりました。最近ではポケモン関連ゲームの最新作「ポケモンGO」が世界中を席巻していますが、ポケモンというキャラクター自身が「自然を人間化する」という主題にとり組んでいます。モンスターという人間の外にある存在とインターフェイスをつくって、自分の身近に持ってくる。

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