けんちん汁発祥の地・建長寺を訪ねて

けんちん汁発祥の地・建長寺を訪ねて

撮影:サトウノブタカ

けんちん汁発祥の地・建長寺を訪ねて

薄く切られた沢庵。感謝の心を込めて、器を清める。

\r\n■けんちん汁に生きる禅の心\r\n


家庭でよく作られるけんちん汁が、じつは、精進料理であるということはご存じでしょうか。その名前は、鎌倉時代に創建された禅寺・建長寺に由来するもので、もともとは、修行僧に供された、野菜くずを無駄なく使うために作る料理でした。“建長寺の汁”がいつしか“建長(けんちん)汁”として広まったといわれています。



けんちん汁に秘められた禅の心を、建長寺の村田靖哲(せいてつ)さんに伺いました。



「精進料理では、殺生(せっしょう)をしてはいけないという仏教の教えから、肉や魚は用いません。野菜は植物ですが、『他の者の命をいただく』という気持ちから、皮も残さず使います。そして、食材はなるべく薄く、細かく切ります。これは、多くの修行僧たちに『普(あまね)く公平に』行き渡るよう、という仏教の『食平等(じきびょうどう)』の教えからきたものです」



建長汁には、こんな逸話も伝わります。



もともと「煮る」か、「焼く」が主流だった日本の調理法に、素材を油で炒めてから煮るという方法を取り入れたのは、中国から禅の教えを伝えた初代住職、蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)(大覚禅師〈だいがくぜんじ〉)によるというもの。また、豆腐を手でくずして入れるのは、修行僧が落としてしまった豆腐を、蘭渓が洗って汁に入れたのが始まりなのだとか。


\r\n■畑作業も修行の一つ\r\n


建長寺の三門の右手には、小さな山門の奥にゆるやかな坂道が続きます。

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