趙 治勲名誉名人が語る碁界の夫婦あれこれ その2

趙 治勲名誉名人が語る碁界の夫婦あれこれ その2

イラスト・石井里果

『NHK 囲碁講座』の連載『趙治勲名誉名人のちょっといい碁の話』。2017年1月号では、先月に引き続き、囲碁界の夫婦にまつわる楽しいエピソードを綴っています。




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今回も夫婦の話を。結婚が発表された際の衝撃度からしたら、このカップルが一番だったかもしれません。楊嘉源(九段)・知念かおり(五段)夫妻です。知念さんは笑顔がシンボルマークみたいに言われて、大人気でした。当時の囲碁雑誌にはこんな見出しが躍ったそうです。「楊嘉源(ようかげん)、いいかげんにしろ」。同感です。



嘉源さんはリーグ戦に入ったこともある実力者。いつタイトルを取るのかって雰囲気だった。今のところそうなっていないのは、知念さんへの愛が深すぎたのかもしれない。それだけ愛する価値のある人です、知念さんは。



昔、知念さんとある棋戦で海外へ行きました。お互いに三番勝負を戦って、ともに二連勝で決着。三局目を打つ予定だった日がオフになりました。テニスをしようって流れになってね。そのころぼくはテニスが趣味だったから、いいところを見せられるぞってほくそ笑んでいたわけ。そしたら知念さん、うまいのなんの! びっくりですよ。さらに「テニスは初めてです」と聞いてもう一度びっくり。経験者のぼくがずっとゼエゼエ言ってました(笑)。



夜は宿のバーで皆とお酒を飲んでね。今までの人生でいちばん幸せと感じたことを一つだけ話すことになったの。

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