ガンディーの思想が現代に投げかけるもの

インド独立運動の指導者ガンディー。1930年、ヤラヴァーダー中央刑務所に収監されたガンディーは、彼が設立したサティアグラハ・アーシュラム(修養道場)にいる弟子たちに宛てて毎週手紙を送っていました。この手紙をまとめた、彼の思想と活動原理をアーシュラムの同志に語って聞かせる書簡集が『獄中からの手紙』(1932年刊)です。2017年2月の『100分de名著』では、東京工業大学教授の中島岳志(なかじま・たけし)さんを講師に迎え、この『獄中からの手紙』を読み解きます。




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まず、1946年のインド・カルカッタ──今はコルカタといわれている町ですが──からお話をはじめたいと思います。



当時のインドは、19世紀から続くイギリス植民地支配から脱しようという独立解放運動のさなかにありました。しかし同時に、国内におけるヒンドゥー教徒とイスラーム教徒の対立が強まっており、1946年8月、ついにインド東部のベンガル地方にあるカルカッタで、激しい宗派間抗争が起こるのです。



ここで登場するのが、今回の主役であるガンディー(フルネームはモーハンダース・カラムチャンド・ガンディーで、「偉大なる魂」を意味する「マハートマー」と呼ばれることも多い)です。彼は、ヒンドゥー教徒とイスラーム教徒は共存して、いっしょに一つの国をつくるべきだと考えていましたから、もちろんこの抗争に強く反対しました。

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