欲望まみれだった若き日のガンディー

ガンディーは「自己統制」を非常に重視しました。また、飲酒や肉食をしない、ものを所有しないなど、極端な禁欲主義を唱えてもいます。「欲望」に非常にこだわり、それを「乗り越えろ」と言い続けた人なのです。



ただ、知っておかなくてはならないのは、彼が「欲望を乗り越えろ」というとき、常に念頭にあったのは「自分がいかに若いとき欲望まみれだったか」という話だということです。これは、ガンディーの思想を知る上で非常に重要な部分だと、東京工業大学教授の中島岳志(なかじま・たけし)さんは指摘します。彼の若き日、前半生を振り返ってみましょう。




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ガンディーはインド西部のグジャラート州で、商人の家に生まれました。カーストはそんなに高くありませんが、それなりに裕福な家だったようです。



母親は非常に敬虔なヒンドゥー教徒で、肉食をせず、断食も欠かさず行うなど、宗教的戒律を厳しく守っていた人でした。にもかかわらず、ガンディーはあえて肉食をしてみている。さらにはたばこを吸ってみたり、そんな自分に絶望して自殺未遂したりと、要するに非常な問題児だったのだと思います。さらに、これはガンディー自身も自伝(『ガーンディー自叙伝 真理へと近づくさまざまな実験』全二巻、田中敏雄訳注、東洋文庫)で、まるで自分自身をえぐるかのような筆致で書いているのですが、ヒンドゥー社会にはチャイルド・マリッジ(幼児婚)という伝統があり、ガンディーも若くして結婚をしました。

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