こっくり、照りよし──総菜店の煮物ワザ

こっくり、照りよし──総菜店の煮物ワザ

ほっくり、ねっとりのバランスが絶妙の煮上がり。盛りつけは「立体的に、皮もところどころ見せる」(上田さん)。撮影:藤田浩司

こっくり、照りよし──総菜店の煮物ワザ

こんにゃくの煮上がり間近、大きかった泡が「あめ状の小さな泡」に変わったところ。

テキスト『NHK趣味どきっ!明日使える!お弁当大百科』で料理講師を務める渡辺あきこさんが「いい味。つい買いたくなる」と、好んで買い求める総菜店。「和食はかくあるべき」の常識を超えるレシピの秘密を探りました。




* * *




「名古屋に行くと、帰りの電車に乗る前に寄るお店です。並んでいるお総菜を詰め合わせたお弁当がおいしいんです。こんにゃくなんて本当にいい味で、どうやって煮ているのかしらと思っていた」。



料理研究家の渡辺あきこさんが熱くこう語るのは、1987年の創業以来、百貨店を中心に全国各地に出店を続ける、名古屋に本社をおく総菜店です。創業者で社長の松岡まち子さんが追求したのは、手羽先、みそカツといったいわゆる名古屋メシではなく、料亭の味でもなく、おふくろの味。「自分の母の味がいちばんおいしい」との確信から、それを「冷めてもおいしいレシピ」にし、多忙な現代の家庭人たちに届けたいと志を掲げていたといいます。



渡辺さんが好むこの店の煮物は、まさにその思いの結実として生み出された代表的な味。「弱火でコトコト煮含ませる料亭の煮方ではなく、終始強火で表面にしっかり味をのせ、つやをのせる煮方。これが冷めてもおいしい当店の煮物」と、商品本部で主幹を務める上田茂雄さんは語ります。



この店の特徴は、各店のバックヤードに必ず厨(ちゅう)房が構えられていること。出来合いではなく、厨房で調理されたばかりの総菜が、時に湯気の上がる状態で並びます。

1 2 次へ

関連記事(外部サイト)