石倉昇九段、恩師を驚かせた気迫の一手

石倉昇九段、恩師を驚かせた気迫の一手

撮影:藤田浩司

石倉昇九段、恩師を驚かせた気迫の一手

石倉昇九段、恩師を驚かせた気迫の一手の画像

毎回大人気を博すNHK囲碁講座の分かりやすい講義をはじめ、母校・東大で「単位の取れる囲碁の授業」を全国で初めて開講するなど、普及面で活躍し続ける石倉昇九段。今回は対局者としての横顔をご紹介します。




* * *

\r\n■恩人の小林名誉棋聖との初手合\r\n


今から12年前に打った小林光一名誉棋聖との一局から、今回の「一手」を選びました。



小林先生には本当にお世話になりました。私が24歳で銀行を退職してプロ試験を受けようというときから、先生のお宅の研究会に入れていただき、棋士になって五段になるくらいまで通っていたのですね。片岡聡九段や、弟子の大矢浩一九段や…若手棋士から院生まで大勢が集まる研究会でした。そこでいろいろ勉強させていただきました。



昔の先生は「こう打つものだ」と感覚的に話されることが多いのですが、小林先生は論理的に説明してくださいました。具体的に図を示し、形勢も「感じ」ではなく、しっかり計算する。こちらが分からないと、「では続きを打ってみよう」とおっしゃって、結果を数字で見せてくださる。説得力がありますよね。



小林先生からはたくさんお言葉を頂いているのですが、最も印象に残っているのは、「多少形勢がよくなる場面がある。でも、そういうときに緩んでいたら、すぐに負けるぞ」というものです。私は緩む癖があるので、よく言われましたね(笑)。形勢がよいときも、最善を尽くしていかないと勝ち切るのは難しい。

1 2 3 4 次へ

関連記事(外部サイト)