一匹狼・坂田先生、銀座を行く

一匹狼・坂田先生、銀座を行く

イラスト:石井里果

『NHK 囲碁講座』の連載『趙治勲名誉名人のちょっといい碁の話』。2017年2月号では、7年前に逝去された坂田栄男(さかた・えいお)二十三世本因坊との思い出を綴ります。




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今月は大御所の登場です。皆さんの中にもファンはたくさんいると思います。一時代を築いた、坂田栄男(二十三世本因坊栄寿)先生です。



先生はまさに一匹狼。群れをなすというのかな、そういうのを嫌っていました。来る者拒まずの姿勢で研究会を毎日のように開いていた秀行先生(藤沢名誉棋聖・10月号参照)とは正反対の棋士と言えるでしょう。



坂田先生と初めてお酒をご一緒したのは、もう数十年も前のことになります。対談か何かの仕事を終えたあと「チクン、銀座で飲んだことあるか?」と先生。



「とんでもないです! 銀座なんて恐れ多くて」とぼく。すると先生がこう言い放ったんです。



「男はな、銀座で飲まなきゃいけない。よし、ついて来い! 銀座での飲み方を教えてやるっ」



そのまま銀座へ連れていかれました。高級クラブでした。坂田先生は常連だったらしく、店に入るとすぐに女の子が両脇に。ちゃっかり手なんか握っちゃってね。棋風と一緒で足早だなあって思ったものです。ぼくは緊張しちゃって、ただただ、きれいな女の子たちを眺めているだけでした。



お酒が回ってくると坂田先生はじょう舌になりました。

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