エリザベスのダーシーへの偏見はどのように生まれたのか

『高慢と偏見』の物語は、主に女主人公エリザベスと高慢な富豪ダーシーの関係の変遷をめぐって展開します、積み重ねられた「偏見」や自らを守る「プライド」によって、誤解と拒絶を繰り返す二人の出会いの場面に着目し、ダーシーに対するエリザベスの偏見がなぜ、どのように生まれたのかを京都大学大学院教授の廣野由美子(ひろの・ゆみこ)さんと共に検証してみましょう。




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エリザベスとダーシーが初めて出会うのは、メリトンの町で開かれた舞踏会です。ダーシーはそこで、大きな屋敷を持つ年収一万ポンドの大地主としてたちまち一座の称賛の的(まと)となりますが、人を見下す高慢な態度によって一転、不興を買ってしまいます。その日の舞踏会では、女性よりも男性の数が少なかったにもかかわらず、ダーシーはなかなか踊ろうとしません。見かねたビングリーが、エリザベスと踊ることを勧めると、ダーシーは近くに座っていたエリザベスを一瞥(いちべつ)したのち、「まあまあだが、いっしょに踊りたいというほどの美人じゃないね。それにいまは、ほかの男から相手にされないような女性に対して、わざわざご機嫌をとるような気分じゃないよ」(第三章)と冷たく言い放ちます。



その会話を耳にしたエリザベスは不快に感じつつも、その話をおもしろがって家族や友人に話した、と語り手は述べています。しかし、こうした表面の態度とは裏腹に、このとき生じたダーシーへの恨みは相当根深いものだったようです。

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