ラッセルの『幸福論』に学ぶ究極のポジティブシンキング

数学者、論理学者として出発し、哲学者、教育者、政治活動家でもあったバートランド・ラッセルは58歳で『幸福論』を出版しました。山口大学国際総合科学部准教授の小川仁志(おがわ・ひとし)さんは、ラッセルの『幸福論』の特徴は「究極のポジティブシンキング」にあると指摘します。




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『幸福論』の原題は、“The Conquest of Happiness”です。私はこの「Conquest」という語がかなり重要な意味を持つと思っています。これは「征服」とか「克服」、あるいは「獲得」と訳される語で、ここでは「獲得」という日本語が最も適切であるように思います。というのも、ラッセルはこんな比喩を使っているからです。


幸福は、きわめてまれな場合を除いて、幸運な事情が働いただけで、熟した果実のようにぽとりと口の中に落ちてくるようなものではない。だからこそ、私は本書を「幸福の獲得」と呼んだのだ。
(第十六章 努力とあきらめ)



果実が落ちてくるのを待つだけでは幸福にはなれない。かといって、誰かを征服したり、問題を克服したりすることによって幸福になるというのでもない。むしろ、何か新しいものを発見し、それを獲得するというプラスのイメージを感じるのです。



実際、ラッセルは自分が幸福になれた理由として、次の三点を挙げています。



@「自分がいちばん望んでいるものが何であるかを発見して、徐々にこれらのものを数多く獲得したこと」。

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