幸福を招き寄せる「思考のコントロール』

ラッセルは、不幸を避け、幸福を招きよせるには「思考のコントロール」が最適だと論じています。山口大学国際総合科学部准教授の小川仁志(おがわ・ひとし)さんは、これを「理性を重視する哲学者らしいアプローチ」だと言います。そこで今回は、不幸の原因を取り除くための解決策として、「思考のコントロール」という視点からお話をうかがいました。




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そもそも思考のコントロールとはいったい何なのでしょうか。ラッセルによれば、「ある事柄を四六時中、不十分に考えるのではなくて、考えるべきときに十分に考える」習慣だといいます。それは、精神を訓練することによって可能になるものであり、そうしてはじめて、幸福を能動的にとらえることができるというのです。



それでは、第1回で紹介した数々の不幸の原因に対し、思考のコントロールという観点から、ラッセルが具体的にどんな解決策を提示しているのか見ていきましょう。ここでは「バイロン風の不幸」について取り上げます。



バイロン風とはどういうことかというと、理性によって厭世(えんせい)的になってしまうこと。ひと言でいうとペシミズム(悲観主義)です。ラッセルはそれでは本末転倒だといいます。自分で勝手に不幸な世界観をつくり、そこに閉じこもろうというのですから。



このバイロン風の不幸の典型例として、「伝道の書」を引用し、次のように述べています。

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