昔は邪道だった穴熊……日進月歩の技術

『NHK将棋講座』の別冊付録「囲い最前線」の講師を務める阿部健治郎(あべ・けんじろう)七段。今月のテーマ「居飛車穴熊」にかけて、日進月歩の将棋の技術と明治維新に思いを馳せました。




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昔は穴熊に組むと強くなれないと言われました。



弱いときに穴熊を指すと伸びしろがなくなると考えられ、指導者は下手が穴熊を指すことを好まなかったようです。時には叱ることもありました。



私はそういう指導は受けていません。



昭和時代は急戦がはやっていたせいもあり、玉が表に出ている囲いがほとんどで、穴熊は邪道と思われていたようです。男らしくないということでしょうか。



平成になると穴熊が大流行。玉が表に出てこなくなりました。そして穴熊の勝率が高くなるにつれて、穴熊こそ本筋で最善という風潮になり、穴熊が邪道という考え方は薄れました。



最近は穴熊に組ませない指し方が増えています。



無理に組んだ場合はすぐに攻め潰して、穴熊玉を引っ張り出します。



そういう盤上の事情もあり、穴熊は邪道という考え方が見直されたわけではないのですが、平成の終わりとともに、昭和に回帰するように穴熊は減るかもしれません。技術は日進月歩です。



2018年のNHK大河ドラマは「西郷(せご)どん」です。明治維新という日本の夜明けは価値観を一新して、新たな文化を創造しました。

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