「会う」ことを詠む

「会う」ことを詠む

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春は出会いの季節。「塔」選者の江戸 雪さんさんが、「会う」ことを詠んだ短歌を紹介します。




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生まれてから死ぬまでの間に私たちはさまざまな人と出会います。誰かに影響を受け、あるいは喜んだり哀しんだりすることは、自分が不完全ながらも〈生きている〉ということを実感する助けになるのではないでしょうか。私は、この〈生きている〉と感じることは詠うことの第一歩だと常々おもっています。



入学や就職など出会いの多い春。そこでこの四月は「会う」ということを考えながら短歌を読んでみます。





まばたきを忘れしごとき一瞬の交差点上の出会ひもはるか
尾崎左永子『椿くれなゐ』


遠い昔の出会い。「まばたきを忘れしごとき一瞬」は、スローモーションのように読者の胸に迫ってきます。「交差点上」はゆっくり立ち止まることの出来ない危うい場所。それがこの「出会い」をいっそう劇的なものにしています。さらに出会いから流れた二人のさまざまな時間も想像できます。出会いは一瞬であったけれど、それが永遠を呼びよせ、その人は作者の人生のなかで大きな存在となったのでしょう。

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