生きづらい今にこそ読むべき『自省録』

生きづらい今にこそ読むべき『自省録』

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人生の岐路に立った時、あるいは対人関係に悩んだり、生きづらさを感じたりした時に、皆さんはどんな本を手に取るでしょうか。哲学者の岸見一郎(きしみ・いちろう)さんは、その一冊に『自省録』を是非加えていただきたいと言います。




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書かれたのは、今から二千年近く前。著者は第16代ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌス(以下、アウレリウスと略記)です。彼は絶頂期のローマ帝国を治めた名君の一人で、約二百年続いた繁栄と平和に陰りが見え始めた時期の難しい舵取りを担った賢帝です。



名門家庭に生まれたアウレリウスは、その資質と見識を見込まれ、わずか18歳で帝位継承者に指名されました。大抜擢に応えて公務に献身し、39歳で帝位を継承すると自ら軍を率いて国防の前線に赴きます。戦いに明け暮れる中、野営のテントで?燭(ろうそく)の灯りを頼りに、あるいは宮廷の自室で書き留めていたのが『自省録』です。



本書は戦況や政局の困難を吐露した日記でも、自らの武勇や帝王学を論じたものでもありません。皇帝が書いたものだと聞けば、偉い人が高いところから教訓を垂れているのではないかと思って敬遠する人もいるかもしれませんが、そういう本ではありません。

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