戦後SFとは何だったのか??小松左京を通じて

戦後SFとは何だったのか??小松左京を通じて

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2019年7月の『100分de名著』は、「小松左京スペシャル」と題し、日本SFの巨匠、小松左京の作品を、評論家の宮崎哲弥さんと読み解いていきます。まず「SF」とは何か、というところから始めましょう。




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小松左京という名前を聞いて、多くの人々の脳裡に浮かぶのはまず『日本沈没』『復活の日』ではないでしょうか。日本と世界とが未曾有の災厄に見舞われ、滅亡の淵に追い遣られてしまう二つの物語は衝撃性、規模の巨大さ、リアリティで読者を圧倒しました。



前者は上下巻合わせて460万部にも及ぶ大ベストセラーとなり、三度映像化され、少なくともタイトルを知らない者はいないというほど広く知れわたったのです。



未知のウイルスのパンデミックによる人類と多くの脊椎動物の死滅を描いた『復活の日』は、似たアイディアに基づくバイオ・パニックものの古典、マイケル・クライトンの『アンドロメダ病原体』に5年先んじる1964年に出版されました。しかしクライトンの小説は、強い緊張感を孕(はら)みながらサスペンスフルに展開していく傑作ではあるものの、作品の規模、文明論的な深度などからみて『復活の日』を超える作品ではありませんでした。

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