壮大で複雑な『平家物語』のエッセンス

壮大で複雑な『平家物語』のエッセンス

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「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。」



誰もが一度は聞いたことがある、あるいは学校で習った記憶があるフレーズではないでしょうか。こうして始まる『平家物語』は、平安末期に起こった、平家と源氏の騒乱を描く長大な軍記物語──というのが一般的な理解でしょう。しかし、能楽師の安田 登(やすだ・のぼる)さんは、「実際に読んでみると源氏が本格的に登場するのは物語の後半ですから、全体として見ると、平家の衰退を描く物語と捉えたほうが正確だと思います」と指摘します。長く、複雑な物語である『平家物語』のあらすじを安田さんに解説してもらいました。




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主人公はタイトルの通り平家一門。当時はさげすまれていた武士階級にあった平家ですが、天皇家、貴族、寺社との関係を強めることで、武家としては前代未聞の繁栄を果たします。平家の棟梁であった平清盛は武士としては初めて、貴族の最高位である太政大臣にまで上り詰め、だんだん傲慢になっていきます。これに不満を持った貴族や寺社勢力が反乱を起こしますが、失敗。しかし、これによって清盛の横暴さはさらに増します。意のままに振る舞おうとする清盛のただひとりのブレーキ役が、長男の重盛(しげもり)でした。



しかし、その重盛は若くして亡くなってしまいます。

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