阿久津主税八段「かなり生意気」だった10代のころ





10代の頃は肩で風を切るような気の強さを前面に出して、頼もしいぐらいに血気盛ん。「かなり生意気でしたね」と思わず苦笑する。奨励会時代から大器の呼び声が高く、将来を嘱望されては無理もないだろうか。だが、デビュー直後は期待どおりにはいかず、プロの洗礼を浴びた。「結果が出なかったということは、単に弱かっただけ。甘く見ていたわけではありません」と実に潔い。



盤外では競馬や麻雀など“課外授業”に精を出し、どこか才能を持て余しているような感があった。また、若手では珍しく淡白な一面もあり、そんな阿久津を一喝したのが8歳年上で当時六段だった鈴木大介九段。鈴木九段は阿久津の才能を高く評価していたひとり。弟分の不甲斐(ふがい)なさをもどかしく感じていたのだろう。しかし、負けん気の強い阿久津は「私が目指しているのは羽生さんクラスの棋士であって、鈴木さんクラスではありません」と兄貴分の愛のムチを突っぱねてしまう。世が世なら暴言だ。



このエピソードは阿久津の結婚式で祝辞を担当した鈴木九段が明かしたもの。



「阿久津君は現在、私より上のクラスで活躍しているので、彼の言うことは間違っていなかった」と期待する後輩の門出に花を添えたのは、まさしく愛の証しだ。

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