徹底して受動的に話を聞く モモのすばらしい才能

徹底して受動的に話を聞く モモのすばらしい才能

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大都市が栄えていた時代、芝居を愛する人々でにぎわっていた円形劇場は今や廃墟。この廃墟に住み着いた少女が物語の主人公であるモモです。モモは町の人たちの好意で円形劇場跡の部屋を住みやすく整えてもらい、食べ物を分けてもらいながら、そこで暮らし始めました。町のみんなはモモを援助しているのに、次第にモモは「みんなにとって、なくてはならない存在」になりました。いったいなぜでしょうか。京都大学教授、臨床心理学者の河合俊雄(かわい・としお)さんが解説します。




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ひょっとすると、魔法がつかえたのでしょうか? どんななやみや苦労もふきはらえるような、ふしぎな呪文でも知っていたのでしょうか? 手相をうらなうとか、未来を予言するとかができたのでしょうか?

これもあたっていません。

小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、あいての話を聞くことでした。なあんだ、そんなこと、とみなさんは言うでしょうね。話を聞くなんて、だれにだってできるじゃないかって。

でもそれはまちがいです。ほんとうに聞くことのできる人は、めったにいないものです。そしてこのてんでモモは、それこそほかにはれいのないすばらしい才能をもっていたのです。

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