「灰色の男」とGAFAの共通点

「灰色の男」とGAFAの共通点

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『モモ』の眼目ともいえる登場人物が、住民に時間の倹約を持ちかける「灰色の男たち」です。灰色の男たちは、おしゃべりや歌、読書などに費やす「無駄な時間」を貯蓄すれば余裕が生まれると嘯きますが、実際に時間を倹約し始めた人は怒りっぽくなり、落ち着きをなくしていきます。「灰色の男」とは何者なのでしょうか。京都大学教授、臨床心理学者の河合俊雄(かわい・としお)さんが考察します。




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灰色の男たちは、『モモ』における文明批評の核心部分です。物語では、灰色の男たちは人生にふと迷いを感じたフージー氏に狙いを定めてやって来て、時間の貯蓄を持ちかけています。しかし見方を変えれば、これはフージー氏の心に生まれた隙間、あるいは虚無が、灰色の男を呼び込んだと考えることができます。つまり灰色の男は、われわれの心の虚無が生み出した存在なのです。



フージー氏は時間の倹約に励みましたが、不思議なことに手元に時間は残りませんでした。あとでわかることですが、その時間はすべて灰色の男たちに盗まれていたのです。



時間を節約したはずなのに余裕は生まれない。私たちの生活においても、しばしば実感されることではないでしょうか。

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