文明が進むほど災害がその激烈の度を増す 寺田寅彦の警句

文明が進むほど災害がその激烈の度を増す 寺田寅彦の警句

文明が進むほど災害がその激烈の度を増す 寺田寅彦の警句の画像

優れた科学者であり、随筆家や俳人としても秀でていた寺田寅彦。災害に関する寺田の随筆を集めた『天災と日本人』を、批評家、東京工業大学教授の若松英輔(わかまつ・えいすけ)さんが読み解きます。




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震災は、いつ起こっても突然の出来事です。東日本大震災のあと、「未曾有(みぞう)の災害」あるいは「想定外の事態」という言葉が盛んに飛び交いました。しかし、あの震災は、本当に、未だかつて一度もなかった災害、まったく想像の及ばない事態だったのでしょうか。ある人物は、「非常時」はどのように経験されるのかをめぐって、次のように書いています。


「非常時」が到来するはずである。それは何時だかは分からないが、来ることは来るというだけは確かである。今からその時に備えるのが、何よりも肝要である。
(「津浪と人間」)



この一節は、今から90年ほど前に書かれました。作者は寺田寅彦です。1933(昭和8)年5月、昭和三陸地震が東北の地を襲った2か月後に発表されました。第1回では、さまざまな震災をめぐって、この人物が書いた文章との対話を深めながら、今、私たちが何をなすべきなのかを考えてみたいと思います。

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