文明が進むほど災害がその激烈の度を増す 寺田寅彦の警句





今回ご紹介する『天災と日本人』は、寺田が発表した随筆のなかから、災害に関するものを集めた1冊です。書籍としては、東日本大震災のあとに刊行されたものですから、長く読み継がれてきたいわゆる「名著」とは趣を異にします。だからといって価値が減ずることはありません。科学者でありながら科学の「死角」を語り続けた寺田が、自然とのつながりを忘却する社会に警鐘を鳴らした1冊であり、今後読み継がれていく「新しい名著」であると私は考えています。



『天災と日本人』を読むと、東日本大震災をはじめとする災害を予言するかのような指摘がいくつも出てくることに驚かされます。とりわけ私が大事だと考えるのは、次の警句です。



ここで一つ考えなければならないことで、しかもいつも忘れられがちな重大な要項がある。それは、文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増すという事実である。
(「天災と国防」)



現代に生きている私たちは、文明が発展すればするほど、自然災害への備えも万全となり、かつてのような惨事(さんじ)は避けられると考えがちです。治水技術によって大水を手なずけ、治山(ちさん)を進めれば土砂崩れは防ぐことができると思っている。

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