文明が進むほど災害がその激烈の度を増す 寺田寅彦の警句





近代に入って科学技術が発達すると、より高度な「細工」が可能となり、人間は自然を思いのままに制御できると考えるようになりました。そうした過信や野心的な人為が、災禍を大きくし、人命を危機に追いやっている。寺田に言わせれば、それは「天災」ではなく「人災」なのです。



ここで私たちが真っ先に想起するのは、東日本大震災における原子力発電所の事故ではないでしょうか。私たちは石油にたよらない電力が必要だと考え、新しい「発電所」を造った。その原動力である「原子力」の恐ろしさを十分に理解しないまま、それを「細工」したのです。結果は、想像もできないほど甚大な被害をもたらしました。今も私たちはその影響下にいます。



グローバルな観点では、気候変動問題も、こうした視座からとらえることができます。私たちは広い意味での「自然」を経済的成長と利便性のために消費し続けたのです。いずれも「その災禍を起こさせたもとの起こり」は、まさに「人間の細工」にほかなりません。科学者である寺田がこのような視点を持っていたことを、現代に生きる私たちこそ重く受け止める必要があります。



※続きはテキストでお楽しみください。



■『NHK100分de名著 100分de災害を考える』より

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