エジプトで自由を求め続ける86歳の女闘士

<父権主義や人権弾圧、女性器切除を果敢に告発してきたエジプト人作家ナワル・エル・サーダウィの揺るがぬ信念>

エジプト人作家ナワル・エル・サーダウィが初めて書いた手紙は神に宛てたものだった。

「あなたが公平な神様なら、なぜお母さんをお父さんと対等にしなかったのですか」。7歳のサーダウィは神にそう問い掛けたが、神は返事をくれなかった。

9人の子供を育てたサーダウィの母親は45歳の若さで亡くなった。両親の信じるイスラム教によれば、父親は死ねば天国で72人の処女に迎えられるが、死んだ母には何も与えられない。

「地上でも天国でも、女性は価値がないということだ」。サーダウィは自伝『イシスの娘』でそう嘆いている。

少女時代に神への不信を抱いた彼女は、86歳の今も神を信じない。「生まれて初めて書いた手紙で、私は神に告げた。『あなたが公平でないなら、私はあなたを信じない』と」

相手が誰でも不公正には屈服しない。そんな生き方を貫いてきたために、サーダウィはこれまでの人生で「死の脅迫を受け続けて」きたと、友人の作家マーガレット・アトウッドは言う。

サーダウィはエジプトの首都カイロの北に位置する小さな村で1931年に生まれた。医学を学び、若くしてエジプト保健省の要職に就いたが、女性器切除を批判したため解任された。

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