アメリカは欧州を「タダ乗り」させるためにNATOを作ったのに

<トランプはヨーロッパ諸国の安保「タダ乗り」を非難するが、「タダ乗り」はNATOの欠陥などではなく、アメリカの大戦略の特色だ>

7月12日までベルギーのブリュッセルでNATO(北大西洋条約機構)首脳会議が開かれているが、ヨーロッパの同盟国に対するドナルド・トランプ米大統領の敵対的な姿勢のせいで、かつてなく気まずい雰囲気になっている。トランプの政策は他にもしばしばヨーロッパ諸国との関係に亀裂を生んでいるし、ホワイトハウスはEUとカナダを相手に全面的な貿易戦争の寸前まできているが、アメリカが提供する安全保障にヨーロッパの同盟国が「タダ乗り」している、という今回の主張は、西側の安全保障の要であるNATOの存続にも関わる話だ。トランプは会議直前まで、欧州諸国の国防費をGDP比2%に引き上げるよう求めてきたが、会議初日(11日)には各国首脳に面と向かって4%を要求した。

トランプはよく、NATOの予算の7割をアメリカが出している、アメリカは「食い物にされている」と言うが、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)に掲載された論説で、著者のルーシー・ベロー・シュードローとニック・チャイルズは、そうした見方に数字で反論した。

彼らの推計によれば、ヨーロッパに対するアメリカの直接的な防衛負担は、2017年が307億ドル、2018年も360億ドルに過ぎず、アメリカの防衛費全体で見れば5.1〜5.5%ほどだ。

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